ピロリ菌の除菌で減りつつある十二指腸潰瘍
胃の出口のほうにピロリ菌が住み着く → 十二指腸潰瘍になる。胃潰瘍の予防にはピロリ菌の除菌が有効です。
(NHK出版 NHKきょうの健康 胃もたれ・胸やけは治せる より引用)
ピロリ菌除菌による潰瘍の再燃例は激減しました。十二指腸潰瘍でほぼ100%、胃潰瘍で80%という高い数字で、治療例が見られます。
(女子栄養大学出版部 胃・十二指腸潰瘍の人の食事 より引用)
胃・十二指腸潰瘍になったほとんどの人の胃からヘリコバクター・ピロリ菌が見つかることから、胃・十二指腸潰瘍の治療ではピロリ菌の駆除を行います。
ピロリ菌を駆除しないで潰瘍を治すと、約60%の人が再発しますが、ピロリ菌を駆除した人はほとんど再発しません。
(主婦の友社 新版 胃・十二指腸潰瘍の病気 より引用)
胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの消化性潰瘍にかかる日本人は、近年ピロリ菌の除菌によっておおきく減ってきている。またピロリ菌に感染している人は50歳以上が中心で、若い年代では減っているため、ピロリ菌による胃潰瘍は減少傾向にある。
それでも、平成23年の厚生労働省による患者調査によると、40万人の胃潰瘍・十二指腸潰瘍の患者が存在する。
ただし、ストレスの増加や胃酸の分泌が盛んな20〜40歳代の若い男性の罹患は都市部を中心に増加している。
【十二指腸とは】
十二指腸は、胃と小腸をつなぐC形に湾曲した約30センチほどの消化管。手の指が12本並んだくらいの大きさだ。
十二指腸の役割は、胃の塩酸で消化され少しずつ送られてきた食物に胆汁や膵液といった消化液を混ぜ、脂質や糖質、タンパク質をさらに分解・消化することだ。
十二指腸の中はアルカリ性なので、酸性の食物を中和するためにアルカリ性の消化液が分泌される。ミネラルやビタミンは十二指腸から空腸の上部で、糖質はブドウ糖・ガラクトース・果糖となって十二指腸下部にて吸収される。その他のタンパク質や脂質などは空腸に送られる。
簡単にいえば、胃に送られた食べ物は2〜3時間とどまり、消化される。消化された食べ物は粥状になって、十二指腸に送り込まれる。
【十二指腸潰瘍の症状】
潰瘍とは、ピロリ菌やストレスなどが原因で、粘膜や皮膚がただれたり、はがれたりする症状をいう。消化性潰瘍は、胃の粘膜から分泌される消化液が粘膜を損傷してできる。
十二指腸潰瘍の自覚症状でいちばん多いのが痛み。病院に来る患者の9割が腹部の痛みを訴えるそうだ。胃潰瘍と同様に症状が進行するまでは無自覚なこともある。
ほかにも吐き気、嘔吐、食欲不振、体重減少、吐血(コーヒーかすのような嘔吐物)、下血(黒いタール状の便)、口臭、胸やけ、酸っぱいゲップ、背中の痛み、などがある。潰瘍ができる場所によって、痛む場所も異なる。
痛みは食事と関係がある。胃潰瘍の場合、食事中から食後に痛みを感じることが多く。胃に入った食物が潰瘍を刺激して痛みがおこる。
また十二指腸潰瘍は、就寝時をふくむ空腹の状態で痛むことが多く、食事をすると痛みがおさまるのも特徴。とくに早朝に強い痛みを感じる。胃酸が潰瘍を刺激しておこる痛みといえる。
胃や十二指腸などの消化器に潰瘍があると、舌の表面に苔状のものが付着する。健康な人の舌はピンク色で、舌の表面が適度に湿っている。
【十二指腸潰瘍の原因】
胃潰瘍と同様に
・ピロリ菌
・ストレス
・食事
・喫煙
・薬剤
などが十二指腸潰瘍の原因と考えられる。
ただし、十二指腸の壁は胃に比べ薄い。潰瘍が進んで壁に穴のあく穿孔(せんこう)が起こりやすくなるので注意が必要だ。
【十二指腸潰瘍の治療法】
ピロリ菌がいれば除菌する。駆除しないで潰瘍を治すと、約60%の人が再発するけれど、駆除すればほとんど再発しないとのこと。
現在、胃潰瘍と十二指腸潰瘍の治療は薬物療法が中心で、食物療法を組み合わせることで治療する。手術は大量に出血したり、胃壁に穴があくなど限られた場合にする。
【胃腸をいたわる食事の基本】
胃腸に負担をかけない食事や調理の基本は
・消化のよい食材をつかう
・やわらかくするなど、消化しやすい調理をする
・油脂をとりすぎない
・どか食い、早食いしない(ゆっくりよく噛んで食べる)
・規則正しく、腹八分目で
・栄養のバランスも考える
・楽しく味わう
などがある。
消化のよくない油脂や食物繊維は控えめにする。食物繊維は、腸内環境改善や便秘予防などにも役立つので、ある程度は必要。野菜ならば繊維を断ち切る、よく煮る、蒸して食べる。
生クリーム山盛りのケーキ、牛の霜降り肉、マグロのトロ、豚バラ肉は脂肪がたっぷりで長く胃にとどまり負担をかける。ふんだんに油脂を使う洋食や中華料理にも気をつけたい。
消化のよいものに発酵食品がある。微生物の作用で発酵させた食品で、ヨーグルト、チーズ、納豆、鰹節などはビタミン・ミネラル・タンパク質も豊富でおすすめだ。ただし、チーズで塩分が高いものはとりすぎないように。
甘い物で多量の糖分が含まれる清涼飲料水、ようかん、おしるこは胃酸分泌を過剰に刺激する原因にもなる。油で揚げたドーナツやカリントウも避けたい。甘いものを食べたければプリンやゼリー、ヨーグルト、ワッフル、カステラ、ういろう、芋ようかんなどがいい。
胃腸粘膜を刺激する熱いもの、香辛料や酸味の強いもの、高脂肪食、大量の飲酒やカフェインも控えよう。よく噛まないと胃への負担が増える。また食事を抜くと胃がからっぽになり、胃壁が胃酸の影響で荒れやすくなる。食べ過ぎも胃や腸を酷使することになるので注意したい。
胃粘膜の修復に必要な材料のたんぱく質、ビタミン、ミネラルなので充分にとりたい。一度の食事で主食、主菜、副菜の4品目以上を食べるよう意識する。おかゆ、サラダ(キャベツやブロッコリー)、スープ(味噌汁)、納豆や豆腐、肉または魚など。
なによりも食事は楽しく味わおう。胃粘膜の血流もよくなり、消化が促進される。ストレスの軽減にも有効だ。
【ファイトケミカルのすすめ】
野菜のなかにはガンや生活習慣病に効果の高いものがある。おなかが弱いひとこそ、野菜の栄養素やファイトケミカル(天然化学成分)を利用しよう。
たとえばブロッコリーやブロッコリースプラウトには、スルフォラファンというピロリ菌死滅作用成分が含まれている。ブロッコリーは、米国国立がん研究所が発表したガンを予防し健康によい成分を含んだ機能性食品「デザイナーフーズ・ピラミッド」の3段目中、2段目に位置している。
キャベツにはビタミンUが豊富に含まれており、胃酸をおさえ、胃粘膜を修復する作用がある。ビタミンUは熱に弱い。冷蔵庫に入れると増えるため、生の千切りで茶碗一杯分(70グラム)を食べるのがおススメだ。キャベツはデザイナーフーズ・ピラミッドの最上位に位置してる。
【まとめ】
潰瘍のおもな原因はピロリ菌の感染と非ステロイド性消炎鎮痛薬で、これにストレス、アルコール、タバコなどが間接的に関与すると考えられる。潰瘍が遺伝する可能性はないし、ストレスが潰瘍の主因でもない。
ただし潰瘍が治りにくい人や再発しやすい傾向の人はいる。ピロリ菌を除菌してもまったく再発しないというわけでもない。自覚症状がなくなっても自己判断で服薬をやめたりせず、規則正しい生活を心がけよう。
タバコは粘膜の血流を悪くする。治療後の回復や再発の原因ともなるため、禁煙が原則。
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