ピロリ菌はキスでうつるのか

ピロリ菌はキスでうつるのか

ピロリ菌はキスでうつるのか

 

ヨーロッパでは、ピロリ菌がキスによって感染するのではないか、と疑われたことがあった。しかし、これは今では否定されている。夫婦や恋人などの間でピロリ菌が感染することはない。キスの習慣のある欧米での感染率の低さがこのことを証明している。

 

(マキノ出版 胃腸革命 乳酸菌LG21 より引用)

 

医学部の学生にピロリ菌の講義をすると、終了後、「キスでうつるのですか?」と質問を受けることが通例であった。この回答は原則「ノー」である。

 

(中公新書 胃の病気とピロリ菌 より引用)

 

経口感染とはいっても、ピロリ菌が多く存在するのは胃の中であり、口の中にはまったくいないとはいえないもののそれほど多くはないので、キスや通常の接触で感染することはまずありません。

 

(悠飛社 ピロリ菌の研究 より引用)

 

成人になれば胃酸が一日中出ていますから、たとえピロリ菌入りの水や食べ物を口にしたところで、たちまち胃の中で胃酸にやっつけられてしまいます。ただし、成人になってからでも油断はできません。胃酸は胃のどこからでも出るわけではないからです。

 

(潮出版社 胃がんはピロリ菌除菌でなくせる より引用)

 

複数の研究調査によれば、胃のなかにピロリ菌がいる人で、だ液や歯垢にも菌がいる人の割合は、約40パーセントと報告されています。そのため、一時、ヨーロッパではキスでピロリ菌が感染するのではないかと疑われたことがあります。

 

(ワニブックス 古賀泰裕・著 あなたもピロリを飼っている!より引用)

 

 

 

【ピロリ菌は胃酸のでない乳幼児を襲う】

 

 

日本人のピロリ菌感染率は非常に高く、人口の約半分が陽性(感染している)と考えられている。感染経路はまだはっきりとはしていないが、おそらく食物や水によるもの、親や祖父母から子への感染と考えられている。

 

そして感染のほとんどは免疫能力が十分に発達していない5歳くらいまでに成立する。もっとも感染しやすいのは乳幼児期といわれている。

 

それ以降の年齢になると、胃のなかに胃酸がでるため、胃酸を浴びたピロリ菌は20分で死滅してしまう。成人になってからの感染では、ほぼ100%が胃の表面に達するまえに、胃酸のため死滅してしまうことがあきらかになっている。除菌後の再感染率が年に1%前後と極端に低いのはそのためだ。

 

ただし、胃酸は胃のどこからでも出ているわけでない。幽門前庭部のように胃の出口の手前の部分からは胃酸がでないため、ここまでピロリ菌がたどりついてしまえば住み着いてしまう。

 

 

 

【ピロリ菌はどのように感染する】

 

 

一般に衛生環境のよくないアジア・アフリカなどの開発途上国では、若い年齢層からピロリ菌の感染率が高く、先進国では低いというアメリカの報告結果がある。アメリカ国内でも白人に比べ、黒人・メキシコ人の感染率は2倍高いというデータもでている。

 

ニューギニア、インド、サウジアラビアでは20歳までに感染率が60〜80%に達している。ペルーでは上水道が完備していない地区の子どもは完備している地区より感染する危険性が3倍にもなるという報告がある。感染率は、衛生環境の善し悪しが大きな影響を与えていると考えられる。

 

大人になってからの感染はまったくないとはいえないものの、それほど心配する必要はない。夫婦や恋人ならばキスを恐れなくていい。

 

なお、感染は口からするもの考えられている。免疫機能が十分に発達していない乳児期に感染することがほとんどなので、母親や祖母は乳児への口移しの栄養補給は避けよう。アメリカの報告によれば、両親が感染していると子どもの感染率は40%で、両親ともに感染していない場合は子どもの感染率は3%だった。ほかにも幼稚園などで保菌者の吐いたものを手で触れ、口に入って感染することが考えられる。

 

自然界ではヒト以外からピロリ菌は分離培養ができない。ヒトが唯一の感染源となる。

 

日本の場合、終戦から10年後くらいまでは復興期で上下水道などの衛生設備が普及せず、糞尿などに汚染された食物や井戸水などから感染したものと思われる。その後、復興が進み上下水道も完備され年々感染率は減少している。日本で感染率が高いのは60歳以上だ。

 

 

 

【ピロリ菌の性質】

 

 

ピロリ菌は微好気性菌で、少量の酸素を必要とするが、酸素の濃度が3〜15%程度のほうがより繁殖しやすい。だから乾燥した環境ではすぐに死んでしまう。

 

その一方で、ピロリ菌はきわめてしぶとい性質をもっている。たとえば、人間の体外に排出されても鞭毛をしまって球体状になり、冬眠したようになる。球体状になると死滅せず、別の誰かの胃に入るチャンスをじっと待つ。

 

米国の研究によれば培養した菌にハエをたからせたところ、ハエは30キロ飛び、30時間も菌を体外に排出し続けたデータがある。この感染力は侮れない。

 

 

 

【大人の感染する可能性が高いのは海外旅行】

 

 

ピロリ菌の感染は胃酸がでず、免疫が不十分な幼児期の口からの感染がほとんどを占めている。だからといって成人の感染が絶対にないとはいいきれない。

 

たとえば1980年代には胃カメラ検査のあと胃カメラの洗浄が不十分で、次の患者に菌に感染したことがあった。ただし、現在は内視鏡から感染することはほとんどないと思われる。

 

アジア、アフリカ、インドネシアといった国に海外旅行や仕事で行くときは、旅行先で口にする水、氷、生野菜などには注意が必要だ。冷えたジュースに菌はいなくても、使っている氷に入っているかもしれない。

 

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