トマトジュースがピロリ菌の予防と治療に役立つ可能性

トマトジュースがピロリ菌の予防と治療に役立つ可能性

トマトジュースがピロリ菌の予防と治療に役立つ可能性

トマト

 

ピロリ菌は人間の胃粘膜に棲息し、胃炎や十二指腸潰瘍、胃がんの主な原因として広く知られている。

 

ピロリ菌の治療は、抗生物質と胃酸を抑えるプロトンポンプ阻害剤による除菌療法が一般的に行われる。しかし、この治療法は1回目で80%前後の高い除菌率を示す効果的な治療法ではあるものの、下痢、味覚異常、肝機能障害などの副作用が生じる可能性がある。

 

じっさい、ぴろりんも薬を飲んでいるあいだは下痢に悩まされた。薬は腸内の悪い細菌だけでなく、良い細菌も殺してしまうからだ。

 

抗生物質に耐性をもつ耐性菌は増加しており、除菌率が低下しつつあることも問題になっている。薬アレルギーや薬による除菌を避けたい人もいるだろう。

 

そこでピロリ菌に対する高い治療効果と、安全性を兼ね備えた食品などによる抗生物質以外の登場が望まれる。

 

 

 

【トマトジュースのピロリ菌抑制効果について】

 

トマトジュース

 

人間の胃酸は強力だ。

 

たとえば、ほとんどの大人がピロリ菌入りの水を飲んでも胃粘膜には定着せず、体外に排出される。胃酸は、それだけ強力に人間の胃を守っている。では、どうやってピロリ菌は胃粘膜に定着するのだろう。

 

まず胃酸が十分に出ていない乳幼児期にピロリ菌は感染することが多い。さらにピロリ菌はウレアーゼをもっている。ウレアーゼとは、尿素を加水分解により二酸化炭素とアンモニアに分解する酵素だ。

 

ピロリ菌はウレアーゼによって胃内の尿素を分解してアンモニアを生成し、胃酸を中和する。そうやって胃内での棲息を可能にしている。だから抗生物質でのピロリ菌除菌では、プロトンポンプ阻害剤で胃酸の出を抑え、薬が胃粘膜に届きやすいようにする。

 

ウレアーゼ阻害剤は、ピロリ菌の消化管内での増殖を抑制阻止し、ピロリ菌に起因する胃炎、胃潰瘍、胃がんなどを治療する上で有用であることが報告されている。

 

胃信州大学大学院農学研究科とナガノトマトの共同研究による結果では、トマトジュースに強いウレアーゼ活性阻害性があることを突き止めた。

 

公開特許公報(A)ウレアーゼ活性阻害剤 出願番号: 2010146539

 

 

 

【トマトの栄養素と機能性成分】

 

トマト祭り

 

トマトは栄養価が高いことが特長。人間が健康を維持するために有効な栄養素や機能性成分がたっぷりと含まれている。

 

・リコピン
・ケルセチン
・GABA(ギャバ)
・有機酸(クエン酸やリンゴ酸)
・ミネラル(カリウム、ルチン、カルシウム、マグネシウム)
・βカロテン
・ビタミンC

 

>>リコピン

 

トマトの赤い色のもとになる色素。抗酸化作用や血液をサラサラにする働きがあり、血管年齢を若返らせ、血圧を安定させる。

 

リコピンは、機能性表示食品として以下の2つが消費者庁に申請が受理されている。

 

・血液中のコレステロール値を改善する働き
・高めの血圧を低下させる働き

 

さらに血管の平滑筋をゆるめる一酸化窒素を活性酸素から守ることで血圧を下げる機能は、消費者庁が認可する特定保健用食品でも認められている。試験では、血中の一酸化窒素の上昇と収縮期血圧の低下が確認されている。

 

リコピンは摂りすぎて害になるようなことはまずない。体内に蓄積されたリコピンは、9日ほどで半減してしまう。だから毎日トマトを食べよう。

 

1日に必要なリコピンの量は15mgといわれている。生のトマトならLサイズで2個、Mサイズで3個食べなければいけない。さすがに毎日続けるのは大変だ。

 

一方、トマトジュースなら1缶(約160ml)に、生のトマト5個分の栄養が入っている。トマトケチャップなら大さじ4杯強で摂取できる。さらにトマトジュースは製造過程で加熱される。トマトの細胞壁が壊れるため、リコピンの吸収率もよくなっている。

 

>>ケルセチン

 

皮に多く含まれる成分で、抗酸化作用をもつ。コレステロールや中性脂肪の吸収を抑え、脂質代謝を促すことで肥満や生活習慣病にも有効に働く。血管の弾力を保ち、動脈硬化や糖尿病を防ぐ。

 

>>GABA

 

天然アミノ酸のひとつ。脳や脊髄で抑制性神経伝達物質として働き、ストレスを和らげ、興奮した神経を鎮める働きがある。イライラや不眠を解消し、心身をリラックス状態に導く。

 

発芽玄米に多く含まれる物質と考えられているが、じつは含有量はトマトのほうが上。発芽玄米が100グラム中10mgに対して、トマトの含有量は62.6mg。

 

ほかにも血圧や血中コレステロールを安定させる働きが認められている。

 

>>カリウム

 

トマトにはミネラルの含有量が多い。とくに多いのがカリウムで、体内の過剰な塩分を排出し、血圧の上昇を防ぐ働きがある。

 

降圧作用のあるルチンは高血圧や動脈硬化の傾向がある人におススメだ。アルカリ性ミネラルのカルシウム、マグネシウムも含まれている。

 

>>ビタミンC

 

ビタミンCには、リコピンと同じ抗酸化作用がある。

 

 

 

【トマトジュースの効果的な飲み方】

 

オリーブオイル

 

健康野菜の代表格ともいえるトマトだが、体を冷やす作用のある夏野菜。漢方でも同様の扱いになっている。食べるときは加熱調理して温めるのがいい。

 

抗酸化力のある成分のリコピンは、トマトを生で食べても果肉や皮にひっついて腸でうまく吸収されない。そこでトマトは切って潰して加熱するのが基本。なによりリコピンは通常、トランス型と呼ばれる化学物質で、そのままでは体に吸収されにくい。加熱してシス型にすることで吸収されやすくなる。

 

リコピンは赤いトマトに多く含まれている。リコピンを最大限に体に取り入れたければ、完熟したトマトを原料に使ったトマトジュースにオリーブ油を加え、電子レンジで温めて飲むのがもっとも効果的だ。

 

実験によれば、生食やサプリメントよりトマトジュースのほうがリコピンの吸収率もいい。

 

「カロテノイド吸収を考慮した野菜ジュースの摂取法に関する研究」の試験結果では、トマトジュースをそのまま飲んだときと、オリーブ油を加えて飲んだときのリコピンの吸収率は約4.5倍も高かった。オリーブ油は他の植物油と比べて、もっともリコピンの吸収を向上させる油といわれている。

 

リコピンは脂溶性であり、油に溶けやすい構造をしている。トマトの細胞膜も油分になじむ構造をしている。実験でもオリーブオイルを使った場合と使わなかった場合では、リコピンの吸収量に約10倍もの差があった。

 

(オリーブオイルの有無によるリコピン吸収量の違い increases in plasma lycopene concentration after consumption of tomatoes cooked with olive oil.より)

 

またリコピンの吸収率は時間によって異なる。実験によれば、もっとも吸収率が高いのは朝、つぎに夜、さいごに昼。だから、トマトジュースは朝いちばんに飲もう。

 

温めるときはトマトジュースをマグカップに移し、オリーブ油を入れてかきまぜる。電子レンジで飲みやすい温度に温める。600Wで90秒が目安。

 

 

 

【ホットトマトヨーグルトのすすめ】

 

飲むヨーグルト

 

トマトはスーパーフードの代表格といわれるほど、栄養を含んだ食品だ。おもな成分に抗酸化物質のリコピンがある。

 

このリコピンを効率的に摂れるのが加工食品であるトマトジュース。トマトジュースには、リコピンを多く含む完熟トマトが濃縮されて使われている。だから生のトマトよりもジュースのほうが、より多くのリコピンを摂取できる。

 

さらにトマトジュースとヨーグルトをあわせることで、美肌やダイエット効果も一度に得ることができる。腸は40度前後で最も活発に働くため、冷たいままより温めたヨーグルトのほうがより効果が高まるわけだ。

 

ホットトマトヨーグルトの作り方は、マグカップに無塩のトマトジュース100mlにプレーンヨーグルト100gを入れて混ぜる。吸収を高めるためにオリーブオイルを小さじ1杯入れよう。あとは電子レンジで500W・40秒温めるだけ。こちらも朝いちばんに飲むことをおススメする。

 

 

 

【酢トマトの相乗効果】

 

酢

 

トマトは夏の野菜なので体を冷やす。そこで体を温めてくれる酢とあわせる酢トマトにすると相乗効果が期待できる。酢には体を温める、血液の滞りを解消し血流をよくする、止血・解毒・殺菌作用がある。

 

酢トマトの作りかたは、清潔な瓶容器に粗みじんに切ったトマトをいれ、穀物酢おおさじ4杯と水おおさじ3杯を入れてよく混ぜる。10分ほど漬ければ完成。1日1回、食前にトマト半分くらいを食べると効果的。冷蔵庫に入れて一週間以内に食べきろう。

 

自分で作るのが面倒なら、トマトを使って毎日飲みやすくしたトマト酢も売られている。

 

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>>赤ワインにはピロリ菌の殺菌作用もある


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