ピロリ菌は人の胃の中に住むらせん形の悪い細菌のこと

ピロリ菌は人の胃の中に住むらせん形の悪い細菌のこと

ピロリ菌は人の胃の中に住むらせん形の悪い細菌のこと

 

ピロリ菌は胃の粘膜に生息している、らせんの形をした細菌だ。

 

感染すると症状がなくても必ず胃炎が起きる。これをピロリ感染胃炎という。ピロリ菌は慢性胃炎だけでなく、萎縮性胃炎、胃がん、胃マルトリンパ腫など多くの消化器疾患を発症させる。

 

ほかにも、胃のポリープの一種である胃過形成ポリープ、内視鏡検査をしても胃の粘膜に異常がみつからないのに胃の痛みや不快感がある機能性ディスペプシアのほか、鉄欠乏性貧血、慢性じんましんなどの病気との関連が指摘されている。

 

ピロリ菌の正式名称は、ヘリコバクター・ピロリ。ヘリコは、らせん形、バクターは細菌の意味がある。胃の幽門部(ピロルス)で最初に発見されたため、ピロリという名前がついた。

 

1983年にオーストラリアのウォーレンとマーシャルという2人の研究者が胃の粘膜からの培養に成功した。菌が発見されて、まだ30年とちょっとしかたっていない。

 

2014年、世界保健機関(WHO)からピロリ菌を除菌することによって、胃がんの発生が減らせるという報告がなされている。

 

ぴろりんがピロリ菌は良い菌か、悪い菌かと問われれば、悪い菌と答える。

 

 

 

【ピロリ菌はどうして胃の中で生きているのか】

 

 

胃には胃酸という強い酸があり、ピロリ菌も胃酸によって20分と生きてはいられない。

 

しかし胃酸が分泌できない新生児期、胃酸を出す壁細胞が完全にできあがっていない乳幼児期に感染したピロリ菌は、胃の中立地帯でもある粘膜に潜り込む。

 

なぜ胃は自分の胃酸で溶けないのだろうと考えたことはないだろうか。胃は胃酸から胃壁を守るため、胃の粘膜の表面を中性の粘液で覆っている。だから胃は溶けない。ピロリ菌は、この中性の粘液の中で生息している。

 

さらにピロリ菌はウレアーゼという酵素をもっていて、自分の周辺をアルカリ性の環境にしてしまう。これによって胃酸が中和され、ピロリ菌は胃の表面まで移動できる。

 

ピロリ菌は胃の粘膜の表面か、粘液の中に住んでいる。ここは胃酸の影響がほとんどないため生きていられるわけだ。

 

 

 

【ピロリ菌は、いつ・どこで感染する】

 

 

ピロリ菌にもっとも感染しやすいのは、5歳くらいまでの乳幼児だ。

 

食べ物や飲み水を介して口から感染する。赤ちゃんは胃酸を分泌できない時期がある。胃酸がなければ、ピロリ菌は胃のどの部位にでも自由に住みついてしまう。また胃粘膜の免疫機能も弱いから感染しやすい。

 

母親から経口感染しやすいので、母親は早いうちにピロリ菌の検査をうけ、菌がいたら除菌しておこう。

 

日本でのピロリ菌感染率は、上下水道が十分に普及していなかった時代に生まれた団塊の世代以前の人は高い。

 

現在、日本でピロリ菌に感染している人は3500万人くらいと考えられている。その多くが上下水道が完備していなかった時代に子供だった60歳以上だ。

 

しかし、水道が普及したため井戸水を飲まなくなり、トイレが汲み取り式のポットン便所から水洗便所になるなど、衛生環境が整った現代ではピロリ菌の感染率は著しく低下している。

 

あと恋人や夫婦がキスをするとピロリ菌が相手に感染すると誤解している人がいるけれど、大人の胃には胃酸があるため感染する可能性はほとんどない。

 

 

 

【ピロリ菌がなかなか見つからなかったわけ】

 

 

胃には強力な胃酸がある。この中では生物は生きられないと、長いあいだ考えられていた。

 

しかし、死体の胃かららせん形の細菌がみつかったものの「胃の中にある細菌は人が死んでから発生したもの」と、1948年にアメリカの病理学者エディ・パルマーが断定してしまった。

 

パルマーは病理学の世界では大権威だったため、ほかの医者は誰も人間の胃の中に病原性をもった細菌がいるなんて考えなくなった。

 

そのためにウォーレンとマーシャルが1983年にピロリ菌を発見するまで、胃の中は胃酸が強く細菌は棲めないと考えられていた。

 

 

 

【コッホの四原則】

 

 

ある細菌が特定の病気に関与していることを証明するためには、コッホの四原則を満たす必要がある。

 

コッホは結核菌などを発見してノーベル賞に輝いたドイツの細菌学者だ。

 

コッホの四原則とは

 

・細菌が常に特定の病変の中に存在している
・ほかの細菌なしに純粋培養が可能である
・培養した細菌を人または動物に摂取したときに病変を再現できる
・人または動物からその細菌を証明できる

 

になる。

 

>>細菌が常に特定の病変の中に存在している

 

具体例として、たくさんパンを食べればおなかが一杯になる。銀行口座から貯金を下ろせば残高の数字が減る。原因と結果の法則みたいなものだ。

 

胃の中にピロリ菌がいる人が胃炎になっている。または胃炎の人にピロリ菌がいれば、第一原則は証明される。

 

オーストラリアの王立バース病院の病理学者ロビン・ウォーレンは、1979年にはピロリ菌と慢性胃炎の関係に気づいていた。

 

これでウォーレンはコッホの四原則のうち、第一の原則を証明したことになる。しかし、残りの三つを証明しなければ、ピロリ菌の存在を世界に認めてもらえない。

 

そこで、ウォーレンは若き消化器内科後期研修医のマーシャルとともにコッホの四原則を満たすための挑戦を始めた。

 

>>ほかの細菌なしに純粋培養が可能である

 

他の細菌が混ざっていない純粋な培養ができるかどうか。これにはウォーレンも苦労した。マーシャルも培養に挑戦するが、彼も20回以上培養に失敗している。

 

それまではピロリ菌の培養に2日間をかけていた。ところが、マーシャルはオーストラリアのイースター(復活祭)で培養のことを忘れて1週間ちかくシャーレを放置してしまった。ところが見事に菌が培養されていた。ピロリ菌の培養には1週間近い時間が必要だったのだ。この偶然でウォーレンとマーシャルはコッホの第二原則をクリアした。

 

ウォーレンとマーシャルは1983年、世界でもっとも権威のある医学雑誌「ランセット」にピロリ菌培養についての論文を発表。2005年にはノーベル生理学・医学賞を取った。

 

>>培養した細菌を人または動物に摂取したときに病変を再現できる

 

ピロリ菌の培養に成功したウォーレンとマーシャル。ところがここでも壁に突き当たる。培養したピロリ菌をマウスやウサギ、豚に感染させようとしたがまったく感染しなかった。

 

ここまでこのページを読んできた賢明なあなたなら、なぜマウスやウサギ、豚といった動物にピロリ菌が感染しないかわかるだろう。胃酸を浴びたピロリ菌は20分と生きていられない。胃酸が分泌されていない乳幼児期でなければ、ピロリ菌は胃の粘膜に定着しないからだ。けれど、この時はウォーレンとマーシャルはそのことを知らなかった。

 

なんと、あきらめないマーシャルは自分を実験台にしてピロリ菌を飲んだ。もちろん事前に内視鏡で自分が菌に感染していないことは確認済み。そしてピロリ菌の除菌方法も研究していて、テトラサイクリンやビスマス製剤、メトロニダゾールなどの抗生物質が有効なのも知っていた。

 

「泥水のような味がする」

 

マーシャルは、66歳の慢性胃炎の患者から採取したピロリ菌を飲んだ。だが、それでもマーシャルの胃に菌は感染しなかった。次にマーシャルは、ピロリ菌を飲むまえに胃酸を抑制する薬(H2ブロッカー)を極限量まで飲み、胃酸を止めてからピロリ菌を飲み込んだ。

 

結果は大成功。5日後に嘔吐したマーシャル。彼は胃炎を発症していて、胃の粘膜から異常な量のピロリ菌が発見された。これでコッホの第三原則、第四原則もクリアした。

 

もちろんマーシャルはこのあと、自分自身で除菌治療している。

 

 

 

【ピロリ菌と共生するメリット】

 

 

胃がんをひきおこしたり、慢性胃炎になる等、デメリットばかりに感じるピロリ菌だが、実はメリットもある。じつは胃の中で良い働きもしていた。

 

胃には強い消化液の胃酸がある。この胃酸が多くなると胃酸過多になり、胃に炎症をおこしたり、潰瘍ができたりする。胃の中が胃酸過多の状態では、さすがのピロリ菌でも生きづらいため、胃酸の出る量が少なくなるよう働きかける。自分が生き残るためとはいえ、結果的に胃酸過多になるのをふせいでいたわけだ。

 

またマーチン・ブレイザー博士の著書Missing Microbesには「ピロリ菌を除去すると胃がんになる確率は下がるけれど、食道がんになる確率は上がる」といった内容が書かれている。

 

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>>ピロリ菌の除去中にコーヒーは飲まないほうがいい


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